【質問回答】ジュニア世代のスウィープについてどう思う? #147
【質問内容】
こんにちは。いつもブログ楽しく拝見させていただいています。
U19、U17のジュニア世代についての質問です。
2年前に日本で開催された「世界ジュニア」を現地で観戦していたのですが、ドイツをはじめ、欧米のボート強国が男女ともエイトをガンガン漕いでいたのがとても印象に残っています。
以前ドイツジュニア選手権の記事を挙げていただいた際に、大会のライブ映像を拝見しましたが、エイトやつきフォアなどのスイープのレースがあったと記憶しています。
世界ジュニア等に派遣されるドイツのU19のエイトの代表はペア等で選考されるのでしょうか。それとも同じクラブの8人が選ばれるのでしょうか。
また、日本では、国体で少年のフォアが廃止になって以降、スイープ種目に触れる機会はほとんどないと思います。個人的にはオリンピックで軽量級種目が廃止になるので、日本の高校生の大会にもスイープ種目を導入したほうがいいのではないかと思っているのですが、基本的な体格など欧米と環境の違いもあるかと思います。
ご自身がU19代表になられた経験を踏まえて古米さんのお考えを語っていただけると嬉しいです。宜しくお願い致します。
いつもありがとうございます。
最初は、世界ジュニア等に派遣されるドイツのU19のエイトの代表はペア等で選考されるのでしょうか。それとも同じクラブの8人が選ばれるのでしょうか。
という質問に関して回答していきたいと思いますが、これは、もちろん、一般的なナショナルチームの選考同様、基本的にペアで行われています。その後、フォアなどでもテストレースが行われ最終的なクルーが決まるような仕組みです。
前にも書きましたが、クラブ単位、チーム単位での選考はポピュラーではありませんし、スマートな選択ではないと個人的に考えています。ただ、必然的に周辺のチームで合同クルーを組んでペアで選考レースに、そして、選考通過した近所のクラブとフォアで更にトレーニングをしてその4人がフォア、付きフォアで世界大会へと出場した例はあったと思いますが、さすがにエイトの例は聞いたことがありません。(昔主流だった、クラブ単位での選考を省く)
次に第二段落、また、日本では、国体で少年のフォアが廃止になって以降、スイープ種目に触れる機会はほとんどないと思います。個人的にはオリンピックで軽量級種目が廃止になるので、日本の高校生の大会にもスイープ種目を導入したほうがいいのではないかと思っているのですが、基本的な体格など欧米と環境の違いもあるかと思います。
という質問への回答です。
そうですね!質問者様がおっしゃるとおり、18歳以下(高校生以下)がスウィープ種目に触れることはほぼ皆無と言っても過言ではないでしょう。
また、自分も、質問者様同様、高校生にもスウィープを追加してもいいのでは?という考え方です。もちろん、体感的に、こっちの中高生(欧米)と日本(アジア)では成長するスピードや筋肉量(欧米ではやはり軽量級は少ない)の違いを感じますので、簡単に導入すべきとは言えませんが、例えば、ドイツの場合、ジュニアのときから体重のカテゴリーがあり、いわゆるジュニアの軽量級でもスウィープ種目はあるので、スウィープを漕いだからといって、怪我をするとか、身体がゆがむとかそういうことではないと思います。
ただ、ドイツの場合もほとんどの場合、スカル種目でトレーニングすることも多く、大会のときだけスウィープを漕ぐ選手も多いです。
それから、ドイツに来て思ったこととすれば、意外にも一種目のエントリー数が少ないこと(クルーボートは多くても予選3組程度)。逆に言えば、軽量級やオープン、Mixed 等も含め種目数が多いということです。
つまり、日本で同じことをするとなると、競技人口的に、下手すると一発決勝だけの種目が出てしまったり、その結果、強いクルーが分散してしまい、競技力が低下してしまう可能性も考えられます。(まーおそらくこれ以上にメリットの方が大きいとは思いますが笑)
それよりも、大きな懸念をするとすれば、指導者が少なすぎること。もちろん、これはスウィープに限った話ではありませんが、スカルでは腰、スウィープでは肋骨を痛める選手を多く見てきましたし、自分自身もそうです。自分の場合指導者には恵まれてきましたが、ローイングの経験がない顧問の先生もたくさんいる状況のなかで、不用意にあらたな種目を増やすと負担が増え、結果的に不完全な状態の選手が増え怪我をしやすくなる。そういったことは阻止しなければならないと思います。
ただ、世界でも通用する選手を早い段階から育成することはとても大切なことですし、それにスウィープを追加することも必要なことです。なので、今から始めても遅くないと思うので、日本ボート協会にはジュニア世代にもスウィープ種目を積極的に導入の検討してもらうとともに、尚且、指導者の育成も強化し、適切にスウィープ種目が漕げる日が来ることを願いたいと思います。