【質問回答】部活と民間クラブの違いは? #203
【質問内容】
日本の部活とドイツのクラブを経験されている古米さんに質問します!それぞれを経験して、違いがあれば教えてください。 また、ドイツのロウイングクラブ形態(教員による教育の場?地域による交流の場?)なども知りたいです!
では、早速質問に答えて行きたいと思います。
学校の単位の部活動と、地域単位やその他特に条件の無いプライベートクラブの違いがあるか?と言われればあります。
まずは、お金がかかるかかからないかの違い。入部の条件の有無。年齢層。選択の自由。などです。
大学スポーツを除くと、中高の部活で遠征等でお金がかかる以外ではほぼ無いと思います。(まー、アホみたいに金を貪る顧問もいることも事実で、それはいいとは思えませんが…)それが無償で部活ができることが良いかは別にして、プライベートクラブは基本的に入会費や月会費、年会費が必要になってきて、学生は高くはありませんが、自分のクラブの場合、学生でも年間100€程かかります。なので、ドイツの場合、基本的に入会の自由はありません。ヨーロッパで生活していると分かるかとは思いますが、それなりに移民がいます。そうなると、どうしても、格差が生まれてしまい、スポーツをするにしても、お金がかかるので、それすら捻出できない家庭も多いのです。その反面、日本やアメリカ、イギリスのように学校単位の部活制をしている国は、基本的に学校が面倒を見てくれたり、経営を考える必要がないので、その辺で差別は少ないですし、スポーツをする、文化活動をする自由があると言えます。
入部(入会)の条件等も異なります。基本的に、部活動はその学校に所属している人だけが入部できますし、プライベートクラブは、老若男女が入会できます。(男女別れているクラブ・チームを省く)自分の所属クラブも、小学生から後期高齢者世代まで、かなり幅広い年齢を抱えています。
また、質問者様も後半に書かれている通り、指導者の違いもあります。
基本的に、学校の部活動は学校の先生が授業の業務終了後、部活動を指導するということになっていますが、プライベートクラブでは、その競技専門のコーチやアスレティックトレーナーが指導することになっていて、他の仕事と兼業している指導者もいますが、プロコーチとして活動している人も多くいます。また、小中学生でその競技をしていて、例えば、ローイングは好きだけど、自分がやるのは違うかな?と思った人などは、高校生、大学生になって指導者やアシスタントコーチとして、コーチの見習いとして違った形でスポーツと関わる人も多くいます。
そして、昨今、問題になっている、ブラック企業や時間外労働など、学校の部活動は個人的に限界を迎えているのではないかな?とは思っています。
常識的に考えれば、学校の先生は8時前後には出勤し、16時前後に授業が終わり、それで終わりでも無く、その他の事業も有るはずです。
その作業をほったらかして、部活動の指導を15時、16時頃から18時から19時頃まで指導をし、事務作業などをしなければならないはずで、更には、土日の休みを返上して部活指導にあたっている先生も多いはずです。先生達も私生活があるはずですし、そうなってくると自由な時間がかなり制限され、学校の先生を続けること自体を限界を迎え離職する人も多いと思います。
そのためにも、ある程度、教師業と部活のコーチ業を分けたり、数校をまとめて、一つの部活動にするなど、行政も介入して、その当たりの改善をすることも必要でしょう。
地域による交流の場とも質問者様も書かれていますが、プライベートクラブには地域交流の場や地域の社会貢献活動の役割もあるかと思います。
ドイツのプライベートクラブでは、各クラブ自前のレストラン(ガストロ)を持つこともステータスの一部とされていて、自分の所属クラブも2つのレストランを持っています。(一つは外部運営)また、社会貢献活動の一貫として、ライン川沿いの清掃活動や身体障害者向けのスポーツ活動の支援等も行っていて、地域との結びつきも強いです。
って、社会貢献活動と書きましたが、特に自分の所属クラブはドイツ最大の製薬、化学薬品会社のバイエルの社会貢献活動の一環として支援、運営されているクラブなので、その時点で、地域交流の場として、機能しているのかもしれませんが笑
ということで、かなり、長々と書きましたが、部活動とプライベートクラブ、それぞれメリット、デメリットがあるのは事実ですが、その中間に当たる様な活動ができる未来が訪れるといいですね!